モンハン

MH4G オリジナルストーリー①

700時間初心者のMH4G日記① の裏設定ストーリーを別で書くことにしました。プロローグのところから改めて書くのでお付き合いいただけると幸いです。

プロローグ

彼女はハンターになることを誓った。全てのモンスターをその手で倒せるほどの強い力を欲した。自分のような思いをする人を生み出さないように。

今は無き村の話。

この村では人と人の繋がりが強かった。隣人の子は我が子。親切な村人ばかりであり、平和であった。木々や畑に囲まれ、暖かい雰囲気のこの村で、彼女は育った。

彼女は捨て子であったが、今の両親に拾われ、我が子同然に育てられた。彼女自身も実の親として接しており、自分が捨て子であった事など気にしたこともなかった。

夫婦の間には既に彼女の2つ年上の男の子がいた。彼女の義理の兄である。彼は幼少期から運動神経がよく、村では「将来は優秀なハンターとなり、村の用心棒となる」ことを期待されていた。この村でいう用心棒とは村を守るハンターのことである。近隣でモンスターが暴れれば追い払い、喧嘩が起これば仲裁し、犯罪者が出れば逮捕に協力する。最も、平和なこの村では強者としての象徴的な意味合いの方が強いというのが実であった。

兄はまだ成人前でありながら村人に頼りにされていた。木の高いところについた木の実をほかの村人のために取ったり、武器も持たずに小型モンスターを追い払ったりなどというのは日常茶飯事であった。泣き虫だった彼女をいつも励ますのも兄の役目だった。兄はこの暖かい村を象徴するような人で、強さだけでなく、優しさを兼ね備えた人間であった。そんな兄のことを彼女は尊敬し、懐いていた。

ある日彼女は近くの畑に果物を取りに行っていた。その日は兄の15の誕生日であった。彼女は大好きな兄のために果物を使った華やかな料理を振る舞うつもりでいた。喜ぶ兄の顔を想像しただけで笑みがこぼれそうだった。あたりが暗くなり、果物も沢山取れたので、彼女は家に帰ることにした。

家に着くと、彼女は直ぐに異変に気づいた。兄が両親に怒鳴りつけているのであった。優しい兄が人と、ましてや自らの両親と喧嘩をしている所など見たこともなかったので彼女は驚いた。恐る恐る家の中を覗くと次の瞬間、兄は家を飛び出して行った。一瞬のことに彼女の思考は停止したが、少しの間を空け、両手いっぱいの果物を放り出し、兄の飛び出した方に走り出した。しかし、兄の姿は既になく、彼女の目からいつもよりたくさんの涙が溢れだしてきた。その後三日三晩村中、近隣の森と探し続けたが、兄の姿はどこにも無く、二度と家に帰ることは無かった。

15歳で成人を迎え、正式に用心棒として村を守る任を負う予定だった兄が蒸発した事で、村には用心棒となりうる人間がいなくなったということになった。

数ヶ月後、元いた用心棒ハンターが突然の病で亡くなり、村にはとうとう用心棒がいなくなった。

月日が立ち、村は以前ほどの活気が無くなった。畑はモンスターの被害にあう頻度が増え、犯罪は増えた。村人の顔からも覇気が失われた。

そんなある日のこと。兄の夢を見て眠れなくなった彼女は、夜風に当たるために深夜の村を歩いていた。刹那、村に一筋の赤い閃光が走った。彼女は何が起こったのか分からなかった。振り返ると見たこともない大型モンスターがそこにはいた。

これまでにも数年に一度、食料を求めて大型モンスターが村を襲いに来ることはあった。その度に腕利きのハンターである用心棒が討伐し、事なきを得ていた。ただ、今回は違う。用心棒はいない。いや、いたとしてもこのモンスターには叶わないだろうと彼女の本能は察知していた。既に村の一部は崩壊していた。このままでは村人全員が亡きものになってしまう。せめて家族だけでも助けようと家族の寝る家へ走って向かった。しかし、家まで数メートルという所で大きな木の板が彼女の背中にのしかかり、下敷きになって気を失ってしまった。

目が覚めると彼女は村の外れの木陰にいた。その位置から村全体を見渡したが「村」と呼べるものは無かった。村があった場所を歩きながら父と母を呼び続けたが、村のどこからも返事は返ってこなかった。

村の生存者は彼女ひとりだった。両親も、親切だった隣人も、近頃犯罪を犯していたごろつき連中も、皆いなくなってしまった。一人ぼっちになってしまった彼女は悲しみのあまり、泣いてしまうはずだった。

だが、彼女は泣かなかった。モンスターを憎み、敵を撃つと決めた。全てのモンスターを倒し、悲しみのない世界を作ると誓った。

村を見捨てて飛び出して行った兄のことも恨まずにはいられなかった。

Twitter→@yottemo113

ABOUT ME
ちゅあん
留年の危機に怯えながらそれでもなおゲームをやめられない大学生。色違いポケモンとパワプロを愛しています。そのほかにもゲームは基本大好き。